研究テーマ

2022年度 研究テーマ

チーム研究テーマ主な使用装置
ディーゼル燃焼
(1)筒内流動を活用した高速ディーゼル燃焼の実現
(2)急速圧縮膨張装置を用いた壁面境界層計測
(3)噴孔オフセットノズルを用いた多段噴射PCCI燃焼
(4)超高圧噴射システム搭載ディーゼル単気筒エンジン
(5)Power generation from solid fuel with carbon dioxided recovery
RCEM
コモンレール式燃料噴射装置
レーザー
SIPディーゼルエンジン
ガソリン燃焼RCEM
レーザー
SIP共用エンジン
排気車両計測
(1)実路走行時の排出ガス・燃費計測及びその予測
(2)実路走行時の二酸化炭素排出要因の解析
(3)交通流シミュレータを用いたホットスポット解析
シャシダイナモメータ
車両シュミレーション
車載計測システム
排気後処理
(1)ゼオライト系触媒を用いたHC-SCR反応機構の解明
(2)同位体を用いたガソリンエンジン用三元触媒の反応機構の解明
排気後処理模擬装置
潤滑摩耗
(1)ノズルシート部の摩耗と変形に関する研究
(2)ノズルホール内のデポジットの生成機構の解明
燃料噴射装置摩耗試験機
燃焼合成燃焼合成装置

過去の研究テーマ一覧

2018年度 研究テーマ

チーム研究テーマ主な使用装置担当
ディーゼル燃焼
(1)超高圧下ディーゼル噴霧の混合過程の解明
(2)ディーゼル機関の冷却損失低減
(3)超高圧噴射を用いたPCCIディーゼル燃焼の制御(SIP-D)
(4)超高圧噴射を用いたディーゼル燃焼の後燃え低減(SIP-D)
(5)バイオディーゼル燃料
RCEM
コモンレール式燃料噴射装置
レーザー
SIPディーゼルエンジン
Jeong(D5)
Dittapoom(D3)
Ewphun(D1)
菱田(M1)
小竹(B4)
ガソリン燃焼
(1)高過給,高EGR下の火花点火機関における冷却損失低減(SIP-G)
(壁面近傍ガス温度計測,熱流束計測,ガス流速計測)
(2)高過給,高EGR下の火花点火機関におけるノック機構の解明(SIP-G)
RCEM
レーザー
SIP共用エンジン
Bae(D4)
前田(M2)
大倉(M2)
山北(M1)
エンジン制御
(1)過渡運転の燃焼と排気の制御(アルコールと軽油の2元燃料,水噴射)
(2)ディーゼルエンジン1Dシミュレーション
単気筒ディーゼルエンジン
レーザー
エンジンシミュレータ
高山(M2)
小松(M1)
排気後処理
(1)HC-SCR排気後処理装置の過渡運転制御に関する研究
排気後処理模擬装置Lee(D5)
福島(M2)
大崎(B4)
(2)車両シュミレーションを用いた実走行車両の排出ガス予測に関する研究
(3)車載型計測システムを用いた最新ディーゼル車両の排出ガス計測
シャシダイナモメータ
車両シュミレーション
車載計測システム
佐々木(M2)
阿部(M1)
潤滑摩耗
(1)ノズルシート部の摩耗と変形に関する研究
(2)ノズルホール内のデポジットの生成機構の解明
燃料噴射装置摩耗試験機Athiwat(D2)
矢部(B4)
燃焼合成
(1)燃焼を利用した機能性材料の合成(燃料改質用触媒ナノ粒子など)
燃料噴射装置松本(B4)

2016年度 研究テーマ

チーム研究テーマ主な使用装置担当
すす生成・酸化
(1)すす酸化過程の数値解析
(2)すす酸化速度のレーザー計測
(3)直接サンプリング法,および二色法によるディーゼル微粒子の酸化機構解明
(4)ディーゼル燃焼後期のすす酸化過程
衝撃波管
多気筒エンジン
YAGレーザー
分光器
ディーゼル燃焼
(1)超高圧下ディーゼル噴霧の混合過程の解明
(2)ディーゼル機関の冷却損失低減
(3)超高圧噴射を用いたPCCIディーゼル燃焼の制御(SIP-D)
(4)超高圧噴射を用いたディーゼル燃焼の後燃え低減(SIP-D)
(5)バイオディーゼル燃料
RCEM
コモンレール式燃料噴射装置
レーザー
SIPディーゼルエンジン
Jeong(D3)
Chau(D3)
Dittapoom(D1)
鐘(M2)
Pop(M2)
中澤(M1)
佐藤(大)(B4)
ガソリン燃焼
(1)高過給,高EGR下の火花点火機関における冷却損失低減(SIP-G)
(2)高過給,高EGR下の火花点火機関におけるノック機構の解明(SIP-G)
RCEM
レーザー
SIP共用エンジン
Bae(D2)
山田(M1)
前田(B4)
大倉(B4)
エンジン制御
(1)過渡運転の燃焼と排気の制御(アルコールと軽油の2元燃料,水噴射)
(2)冷間始動における有害排出物の排出機構解明とその制御
(3)ディーゼルエンジン1Dシミュレーション
単気筒ディーゼルエンジン
レーザー
エンジンシミュレータ
Nour(D3)
弓削(M2)
高山(B4)
排気後処理
(1)HC-SCR排気後処理装置の過渡運転制御に関する研究
排気後処理模擬装置Lee(D3)
佐藤(慎)(M2)
福島(B4)
(2)車両シュミレーションを用いた実走行車両の排出ガス予測に関する研究
(3)車載型計測システムを用いた最新ディーゼル車両の排出ガス計測
シャシダイナモメータ
エンジンダイナモ
車両シュミレーション
車載計測システム
野水(M1)
佐々木(B4)
潤滑摩耗
(1)ノズルシート部の摩耗と変形に関する研究
(2)ノズルホール内のデポジットの生成機構の解明
燃料噴射装置摩耗試験機手塚(M2)
Athiwat(M2)
菅生(M1)

2010年度 研究テーマ

チーム研究テーマ主な使用装置担当
すす生成・酸化
(レーザー計測)
火炎内すす生成・酸化過程の光学計測
(1)予混合火炎内すす生成過程のレーザー計測
(2)すす生成・酸化過程の数値解析
衝撃波管
多気筒エンジン
CWグリーンレーザー
宮内(早大M1)
川元(早大B4)
山田(B4)
ディーゼル燃焼

エンジン制御
雰囲気の不均一性(酸素濃度と温度分布)が燃焼に及ぼす影響
(1)雰囲気の不均一性を用いたディーゼル燃焼制御
(2)雰囲気の不均一性が予混合圧縮自己着火燃焼に及ぼす影響
RCEM
高速度カメラ
Nd:YAGレーザー
亀澤(M2)
松木(B4)
試験用単気筒ディーゼルエンジン を用いた燃焼制御に関する研究
(1)エンジン制御用燃焼サイクルシミュレータの開発
(2)内部EGRと外部EGRによる燃焼制御
(3)過渡運転時の筒内すす生成過程の光学計測
コモンレール単気筒エンジン
高速度カメラ
Nd:YAGレーザー
新井(M2)
井上(M1)
谷合(B4)
潤滑摩耗
燃料噴射装置ノズルシート面の摩耗に関する研究
(1)ノズルシート部摩耗試験機を用いたパラメトリックスタディ
(2)ノズルシート部摩耗のEHL解析
(3)シート摩耗と噴霧特性の関係を調査
ノズルシート部摩耗試験装置堀子(M2)
山下(M1)

2008年度 研究テーマ

チーム研究テーマ主な使用装置担当
すす生成・酸化
(レーザー計測)
火炎内すす生成・酸化過程の光学計測
(1)予混合火炎内すす生成過程のレーザー計測
(2)すす生成・酸化過程の数値解析
衝撃波管
多気筒エンジン
CWグリーンレーザー
宮内(早大M1)
川元(早大B4)
山田(B4)
ディーゼル燃焼
雰囲気の不均一性(酸素濃度と温度分布)が燃焼に及ぼす影響
(1)雰囲気条件を自在に制御できるRCEMによるパラメトリックスタディ
(2)実機における雰囲気酸素濃度・温度分布の能動制御
RCEM
高速度カメラ
Nd:YAGレーザー
山口(M2)
亀澤(B4)
エンジン制御
電子制御式燃料噴射装置を用いたディーゼルエンジンの燃焼制御に関する研究
(1)エンジン過渡運転時の筒内すす生成過程の光学計測
(2)エンジン制御用燃焼サイクルシミュレータの開発
(3)可変動弁系を用いたディーゼルエンジンの燃焼制御
コモンレール単気筒エンジン久保(俊)(M2)
久保(周)(M2)
鷲見(M1)
新井(B4)
潤滑摩耗
燃料噴射装置ノズルシート面の摩耗に関する研究
(1)ノズルシート部摩耗試験機の開発と計測
(2)ノズルシート部摩耗のEHL解析
ノズルシート部摩耗試験装置黒崎(M2)
三好(M1)

2004年度 研究テーマ

チーム研究テーマ担当
レーザー計測
多波長レーザー光源を用いた火炎内すす生成過程の分光計測
衝撃波管を用いた高温・高圧下の多環芳香族炭化水素の分光計測
飯室(B4)
小竹(B4)
LIF法によるディーゼル噴霧火炎内すす生成過程の分光計測
ピレンLIF法による火炎内温度分布の画像計測
蒲生(M1)
道家(M2)
半導体レーザー吸収分光センサーによるジェットエンジン排気流速の非接触計測
井上(M1)
壁面熱損失河内(M2)
大西(M1)
直接噴射式ディーゼル機関の熱損失に関する研究
窪山(D2)
後藤(B4)
ディーゼル燃焼
雰囲気酸素濃度がディーゼル火炎の燃焼温度とすす濃度に及ぼす影響
岡野(M2)
森野(M1)
エンジン制御
予混合圧縮自着火燃焼(HCCI)に関する研究
下村(M1)
鈴木(B4)
燃料噴射装置のディジタル制御に関する研究
村山(M2)
北田(B4)
数値解析木村(D4)

多波長レーザー光源を用いた火炎内すす生成過程の分光計測

多波長励起光を用いて励起された蛍光を,X軸に発光波長,Y軸に励起波長をとって2次元マトリクス上に表示したものを励起発光マトリクス(EEM)と呼びます.サンプル中の複数の化学種はEEM上で蛍光が観測される位置から同時に同定でき,各化学種の濃度はその蛍光強度から求めることができます.すす前駆物質として知られる様々な多環芳香族炭化水素(PAH)の蛍光をEEM上での位置により特定化しつつ蛍光強度を測定すれば,火炎内の複数のPAHを同時に同定,濃度測定でき,火炎内すす生成過程の分析に役立つと考えられます.下図はラマンセルを用いた多波長レーザーを光源として測定された拡散火炎のEEMと,代表的PAHのEEM模式図です.火炎上流部でナフタレン等の2~3環程度のPAH,火炎下流部で3環以上の様々なPAHが観測されていることがわかります.

(日本機械学会論文集(B編)70巻,690号,pp.496-502,2004)


衝撃波管を用いた高温・高圧下の多環芳香族炭化水素の分光計測

蛍光分光法による火炎内PAH計測のこれまでの研究例のほとんどは,測定されたスペクトルの解析に常温液相でのPAHのスペクトル文献値を用いており,解析精度の向上には火炎温度での気相PAHのスペクトルが必要であることが指摘されています.高温気相PAHの蛍光スペクトルはこれまでにも測定されていますが研究例は少なく,またこれらの研究では,火炎中にPAH蒸気を噴射するか,あるいはセル中でPAHを電気加熱するといった方法で測定を行っているため,加熱中のPAHの熱分解などの影響により正確なスペクトルが測定できていない可能性があり,また加熱できる温度及び圧力条件にも限界があります.私たちの研究室ではPAH蒸気の加熱に衝撃波管を用い,PAH蒸気を1500K,10気圧程度まで瞬時に加熱・昇圧した直後,数msの時間内にレーザー計測を行っています(下図:実験装置概要).これにより熱分解の影響を受けない高温・高圧気相PAHのスペクトルを計測し,エンジン内すす生成過程解析の基礎データとすることを目指しています.

(SAE Paper 2003-01-1785, 2003)


LIF法によるディーゼル噴霧火炎内すす生成過程の分光計測

高度な燃焼制御と様々な後処理技術を統合した最近のエンジンシステムにおける排気微粒子の低減には,化学反応を含めたすす生成過程の詳細な理解が必要とされます.このような観点から,ディーゼル噴霧火炎内においてすす前駆物質からすすに至るまでのすす初期生成過程を実験的に調べることは重要です.我々の研究グループではこれまでに,レーザー誘起蛍光法(LIF法)及びレーザー誘起赤熱法(LII法)を用いて,ディーゼル噴霧火炎内のすす前駆物質とすす固体粒子の同時2次元可視化を行いました.その結果, 下図に示すように何らかのすす前駆物質によると考えられるLIFが噴霧中心部の燃料過濃領域で観察され(図中青),すす粒子からのLIIがその周辺部及び下流域で観察される(図中赤)ことを明らかにしました.現在,LIFを発するこれらのすす前駆物質についてより詳しく調べるため,LIFスペクトルの計測を進めています.

(日本機械学会論文集(B編),69巻,680号,pp.981-987,2003)(SAE Paper No.2002-01-2669, 2002)


感熱燐光体を用いたディーゼル機関燃焼室壁面温度の画像計測

感熱燐光体とは,無機物の母材に数パーセントの希土類を添加した物質で,レーザなどで励起した際に燐光の強度,スペクトル,寿命が温度に依存して変化することが特徴です.本研究では,感熱燐光体にLa2O2S:Euを用い,ディーゼル機関燃焼室壁面の二次元温度分布を求めることを目的としています.現在,燃焼期間における燃焼室壁面の温度変化を二次元的に計測した例は少なく,燃焼室壁面における熱伝達機構の解明に役立つと考えられます.下図に示すのは,燃焼室壁面の温度計測に先立ち拡散バーナー火炎により加熱される壁面の温度計測を行った実験結果です.実験結果を見ると,加熱時間が長くなるにつれて壁面の温度分布が変化しているのが観察できます.今後,本計測手法をエンジン燃焼室壁面の温度計測に適用する予定です.

(日本機械学会2004年度年次大会講演論文集Vol.III,p.177-178)


LESによる非定常噴霧の数値解析

ディーゼル噴霧内部は液滴が空間に不均一に分布しており,これが燃焼特性や燃焼生成物の発生プロセスに少なからず影響を与えていると考えられます.噴霧液滴が不均一に分布する大きな要因として,液滴の運動と乱流の組織構造との相互作用が指摘されています.この相互作用については,現状では計測により詳細に調査することはかなり困難ですが,数値解析を用いれば容易に調べることができます.我々は乱流の組織構造が適切に解像できる乱流モデルであるLESを用い,噴霧の乱流混合過程を定量的に調査することを目標としています.現在,LESによる噴霧の数値解析を実現するため,計算手法などの妥当性の検討を行っている段階です.その一つとして幾つかの条件で単相噴流の計算を行いました.定常域の乱流統計量や非定常特性などは実験結果との一致が得られました.その一例として下図にパルスジェットの渦度分布の画像を示しています.

(第12回微粒化シンポジウム講演論文集,p.239-244, 2003)